7月25日に、『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN- Blu-ray Box』が発売されたのを記念して、、作品の関係者としてビックウエストの平井伸一プロデューサー、制作当時のバンダイビジュアルの高梨実プロデューサーにお話を伺った。
本作は1992年『超時空要塞マクロス』誕生から10年の節目を記念したシリーズ初のOVAである。マクロスシリーズの方向性を決めた重要な位置にある作品でもある。いまなぜ『マクロスII』なのか、マクロスシリーズと『マクロスII』を語っていただいた。
『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN- Blu-ray Box』特設サイト
https://www.bandaivisual.co.jp/macrossII/
■ シリーズが女性に受ける秘密は?
―ヒロインの話もさせてください。お二方は、シルビーとイシュタル、どちらがお好きですか?
高梨実氏(以下高梨)
個人的にはイシュタルですね。
平井伸一氏(以下平井)
そういうとシルビーと言わないといけないかもしれませんが(笑)、僕もイシュタルですね。根源的に異星人の女の子は面白いですよね。
―シルビーはどうですか。パイロットではない主人公で、ちょっとそばかすの女の子、これもなかなかチャレンジングだなと思います。
高梨
やっぱり美樹本さんのなかで変えよう、ということだと思います。そばかすがあって金髪で。
平井
もしシルビーが、バルキリーのパイロットの女の子が主人公ということだったら、またストーリーが全然違ったかもしれませんね。ただ、主人公はヒビキ。レポーターのヒビキなんですね。
―本作の当初のターゲットは男の子ですか?
高梨
そうですね。自分が男性ということもありますし、ある程度自分に寄せてつくったほうがやりやすいんです。誰か自分の知らないお客さんであろう人につくるというのはすごい困難なのです。男性が共感しやすいのは男性の主人公ですから、男性中心のターゲットと考えています。
―考えてみると、『愛・おぼえていますか』のときから、当初の想像以上に女の子のファンもついていたと思います。それは今に至るまでですが、それは何故ですか?
高梨
何ででしょうかね……。でも、河森さんは、男性だけに受けるのは嫌だと、なるべく広い人に観てほしいということは言っていますから。河森さんとしても、女性男性両方に受けたいというのが根底にあると思います。
女性のファンは、ドラマを中心に興味がありますから三角関係が響いたところがあるかもしれません。
平井
少しつけ加えさせていただくと、マクロスの三角関係は生々しいというか、見たら恥ずかしいけど、でも見てみたいなというところまで描いています。
アニメはそれまでどうやって戦うか、敵を殲滅させるかを描いてきたんです。けれど、普段はスポットをあてていない誰々と誰々がデートして、誰々が嫉妬して、誰々がすれ違うとか、そんなことを描いている。そこが女性にも受けているんじゃないかと、長い間シリーズをやらせてもらっていて感じています。
高梨
『マクロス』が始まる時に、「すごいSFメカものがはじまってすげー!」と思っていたら、あれー?イメージと違うんだけど……と思いつつ、10話か11話で、こんなことがしたいのかな? と分かりファンになりました。SFメカものだと思っていたのが、「好きだ、嫌いだ」。あ、こういうことがやりたいんだなと分かったんです。期待を裏切った良さでもあると思います。人間、期待通りだとあんまり嬉しくないですから。
平井
そうですよね。僕も中1くらいだったかな。あれ?今回は、バルキリー全然飛ばないよ! と思ったりして(笑)。
高梨
SFハードロボットアクションものだと思っていたら、恋愛ものという価値の転換、意外性もよかったですよね。河森さんは新しいことをしたい人です。
―『マクロスII』は最初からドラマを描いていて、みなさんもそれを期待しますよね。
平井
逆に言うと、『超時空要塞マクロス』のころに、まだまだ描き足りなかったヒロインと主人公のデートのシーンだとか、そういうのをたっぷり描いたのが『マクロスII』じゃないのかな。
―だからこそ主人公がパイロットでなくてもOKということなんでしょうか。
平井
そうですね、それで言えば、ドラマはパイロットじゃなくても出来ました。
■ 『マクロスII』の見どころはここだ!
―マクロスシリーズ全て人気がありますので、7月25日に『マクロスII』のBlu-rayが発売されたのは、出るべくして出たというのは分かります。とは言え、このタイミングは何故ですか?
平井
決して後回しにしたわけではないです。30周年を機にほぼ劇中の年代順にBD化していったので最後に出るべくして出たと思っています。
―マクロスシリーズの通史でも、最後ですから、相応しいですね。今あらためて振り返る人も多いと思います、あるいは今まで観なかった人で、じゃあ観てみよう、という人もいると思います。今だからこその見どころを教えてください。
高梨
やっぱり美樹本さんが全面的に絵に関わっているところです。それと可能性を示している気もします。あと、AICさんが頑張ってくれて、作画が頑張ってくれたし、あるいは富田さんが自分の力を発揮してくれているシナリオなので、そこらへんも面白くできています。作品として全体を捉えてもらえると嬉しいですね。
―平井さんはいかがですか?
平井
その後のマクロスシリーズも歌というのが重要になってきますけど、描き方がぜんぶ違うんですよね。『マクロスプラス』だとバーチャルアイドルが洗脳に使う。逆に『マクロス7』は一方的に歌うバサラ……、でも歌のパワーで心を動かし、ドラマも動かし、銀河までも動かしていく。最初の『マクロス』が提示したミンメイが歌でカルチャーショックで敵を動かしていたんですけど、それ以外の使い方を提示したのが『マクロスII』なんです。
―敵が歌うというのは不思議ですよね。
平井
ヒロインが歌巫女だということですよね。そういう観点で観ていただくと面白いと思います。ほかのシリーズもそうですけど、『マクロス』は歌がどういうものなのかを、その都度いろんな切り口でやっている作品だと思います。
―最後にファンにメッセージをいただけますか。
高梨
大張(正己)さんのオープニングも含めたAICは画の力がすごいですから、そのあたりを再評価してもらえれば嬉しいです。富田さんのドラマ的な良さも出ていますし、美樹本さんの絵も、そのあたりをとくに注目してもらえると嬉しいです。
―作画もドラマも見どころたくさんだと。
高梨
ええ、そのとおりです。
平井
『マクロスII』もふくめて、いろんなマクロスシリーズがありますが、その世界観といいますか懐の広さを、是非『マクロスII』で観てもらえたらなと思います。今まで自分が観てきたものとは、作風とか若干違う部分があると思うので、「ああ、こういう『マクロス』もあるんだ」というのを観てもらって、さらに自分のなかで『マクロス』の世界観を楽しんでもらいたい。自由に想像してもらえるひとつの指針になる作品だと思います。
『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN- Blu-ray Box』特設サイト
https://www.bandaivisual.co.jp/macrossII/
『超時空要塞マクロスII』
13,800 円(税抜)
毎回封入特典: 特製ブックレット(108P)
毎回映像特典: ノンテロップOP&ED、#6 ノンテロップED、Blu-ray Box PV・CM
毎回音声特典 : 新規オーディオコメンタリー 、BD-Audio「イシュタルからの伝言」他
仕様 : 美樹本晴彦描き下ろし収納BOX 、大張正己描き下ろしインナージャケット
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本作は1992年『超時空要塞マクロス』誕生から10年の節目を記念したシリーズ初のOVAである。マクロスシリーズの方向性を決めた重要な位置にある作品でもある。いまなぜ『マクロスII』なのか、マクロスシリーズと『マクロスII』を語っていただいた。
『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN- Blu-ray Box』特設サイト
https://www.bandaivisual.co.jp/macrossII/
■ シリーズが女性に受ける秘密は?
―ヒロインの話もさせてください。お二方は、シルビーとイシュタル、どちらがお好きですか?
高梨実氏(以下高梨)
個人的にはイシュタルですね。
平井伸一氏(以下平井)
そういうとシルビーと言わないといけないかもしれませんが(笑)、僕もイシュタルですね。根源的に異星人の女の子は面白いですよね。
―シルビーはどうですか。パイロットではない主人公で、ちょっとそばかすの女の子、これもなかなかチャレンジングだなと思います。
高梨
やっぱり美樹本さんのなかで変えよう、ということだと思います。そばかすがあって金髪で。
平井
もしシルビーが、バルキリーのパイロットの女の子が主人公ということだったら、またストーリーが全然違ったかもしれませんね。ただ、主人公はヒビキ。レポーターのヒビキなんですね。
―本作の当初のターゲットは男の子ですか?
高梨
そうですね。自分が男性ということもありますし、ある程度自分に寄せてつくったほうがやりやすいんです。誰か自分の知らないお客さんであろう人につくるというのはすごい困難なのです。男性が共感しやすいのは男性の主人公ですから、男性中心のターゲットと考えています。
―考えてみると、『愛・おぼえていますか』のときから、当初の想像以上に女の子のファンもついていたと思います。それは今に至るまでですが、それは何故ですか?
高梨
何ででしょうかね……。でも、河森さんは、男性だけに受けるのは嫌だと、なるべく広い人に観てほしいということは言っていますから。河森さんとしても、女性男性両方に受けたいというのが根底にあると思います。
女性のファンは、ドラマを中心に興味がありますから三角関係が響いたところがあるかもしれません。
平井
少しつけ加えさせていただくと、マクロスの三角関係は生々しいというか、見たら恥ずかしいけど、でも見てみたいなというところまで描いています。
アニメはそれまでどうやって戦うか、敵を殲滅させるかを描いてきたんです。けれど、普段はスポットをあてていない誰々と誰々がデートして、誰々が嫉妬して、誰々がすれ違うとか、そんなことを描いている。そこが女性にも受けているんじゃないかと、長い間シリーズをやらせてもらっていて感じています。
高梨
『マクロス』が始まる時に、「すごいSFメカものがはじまってすげー!」と思っていたら、あれー?イメージと違うんだけど……と思いつつ、10話か11話で、こんなことがしたいのかな? と分かりファンになりました。SFメカものだと思っていたのが、「好きだ、嫌いだ」。あ、こういうことがやりたいんだなと分かったんです。期待を裏切った良さでもあると思います。人間、期待通りだとあんまり嬉しくないですから。
平井
そうですよね。僕も中1くらいだったかな。あれ?今回は、バルキリー全然飛ばないよ! と思ったりして(笑)。
高梨
SFハードロボットアクションものだと思っていたら、恋愛ものという価値の転換、意外性もよかったですよね。河森さんは新しいことをしたい人です。
―『マクロスII』は最初からドラマを描いていて、みなさんもそれを期待しますよね。
平井
逆に言うと、『超時空要塞マクロス』のころに、まだまだ描き足りなかったヒロインと主人公のデートのシーンだとか、そういうのをたっぷり描いたのが『マクロスII』じゃないのかな。
―だからこそ主人公がパイロットでなくてもOKということなんでしょうか。
平井
そうですね、それで言えば、ドラマはパイロットじゃなくても出来ました。
■ 『マクロスII』の見どころはここだ!
―マクロスシリーズ全て人気がありますので、7月25日に『マクロスII』のBlu-rayが発売されたのは、出るべくして出たというのは分かります。とは言え、このタイミングは何故ですか?
平井
決して後回しにしたわけではないです。30周年を機にほぼ劇中の年代順にBD化していったので最後に出るべくして出たと思っています。
―マクロスシリーズの通史でも、最後ですから、相応しいですね。今あらためて振り返る人も多いと思います、あるいは今まで観なかった人で、じゃあ観てみよう、という人もいると思います。今だからこその見どころを教えてください。
高梨
やっぱり美樹本さんが全面的に絵に関わっているところです。それと可能性を示している気もします。あと、AICさんが頑張ってくれて、作画が頑張ってくれたし、あるいは富田さんが自分の力を発揮してくれているシナリオなので、そこらへんも面白くできています。作品として全体を捉えてもらえると嬉しいですね。
―平井さんはいかがですか?
平井
その後のマクロスシリーズも歌というのが重要になってきますけど、描き方がぜんぶ違うんですよね。『マクロスプラス』だとバーチャルアイドルが洗脳に使う。逆に『マクロス7』は一方的に歌うバサラ……、でも歌のパワーで心を動かし、ドラマも動かし、銀河までも動かしていく。最初の『マクロス』が提示したミンメイが歌でカルチャーショックで敵を動かしていたんですけど、それ以外の使い方を提示したのが『マクロスII』なんです。
―敵が歌うというのは不思議ですよね。
平井
ヒロインが歌巫女だということですよね。そういう観点で観ていただくと面白いと思います。ほかのシリーズもそうですけど、『マクロス』は歌がどういうものなのかを、その都度いろんな切り口でやっている作品だと思います。
―最後にファンにメッセージをいただけますか。
高梨
大張(正己)さんのオープニングも含めたAICは画の力がすごいですから、そのあたりを再評価してもらえれば嬉しいです。富田さんのドラマ的な良さも出ていますし、美樹本さんの絵も、そのあたりをとくに注目してもらえると嬉しいです。
―作画もドラマも見どころたくさんだと。
高梨
ええ、そのとおりです。
平井
『マクロスII』もふくめて、いろんなマクロスシリーズがありますが、その世界観といいますか懐の広さを、是非『マクロスII』で観てもらえたらなと思います。今まで自分が観てきたものとは、作風とか若干違う部分があると思うので、「ああ、こういう『マクロス』もあるんだ」というのを観てもらって、さらに自分のなかで『マクロス』の世界観を楽しんでもらいたい。自由に想像してもらえるひとつの指針になる作品だと思います。
『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN- Blu-ray Box』特設サイト
https://www.bandaivisual.co.jp/macrossII/
『超時空要塞マクロスII』
13,800 円(税抜)
毎回封入特典: 特製ブックレット(108P)
毎回映像特典: ノンテロップOP&ED、#6 ノンテロップED、Blu-ray Box PV・CM
毎回音声特典 : 新規オーディオコメンタリー 、BD-Audio「イシュタルからの伝言」他
仕様 : 美樹本晴彦描き下ろし収納BOX 、大張正己描き下ろしインナージャケット
【関連写真】いま明かされる「マクロスII」制作の秘密 平井伸一氏(ビックウエスト)&高梨実氏(バンダイビジュアル)対談 後編
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「超時空要塞マクロスII」BD-BOX決定 10周年を記念したシリーズ初OVA