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英 2013年音楽市場、音楽ストリーミングが34%成長

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posted by Jay Kogami

イギリスの音楽売上、2013年はアルバム売上4%減少、音楽ストリーミングが34%成長:楽曲再生数は2倍に拡大

img via Wikimedia Commons

明けましておめでとうございます! 今年もどうぞよろしくお願いいたします!
世界の音楽市場の2013年を振り返る時期がやってきました。今年初めはイギリスからです。

イギリスの音楽ビジネスを代表する業界団体BPIと、公式チャートを管理運営するOfficial Charts Companyは、2013年のイギリスにおける音楽売上推移を発表しました。

2013年の小売価格での音楽売上は、2012年と比較し0.5%減少し10億430万ポンド(約1817億3000万円)でした。この音楽売上には、CD、アナログレコード、ダウンロード購入、定額制音楽ストリーミングが含まれます。一方で広告モデルの音楽ストリーミングや音楽動画視聴からの売上は含まれません。

アルバム売上は、3.6%減少し7億7210万ポンド(約1345億2947万円)、シングル売上は1.6%減少し1億6780万ポンド(約292億3720万円)と、両方で減少が見られました。

逆にSpotifyやDeezerなど定額制音楽ストリーミングは、33.7%増加し1億300万ポンド(約179億4656万円)になりました。イギリス音楽業界では売上規模で2012年の7%から10%へ拡大しました。

Official Charts Companyによれば、イギリスでストリーミング再生された楽曲数は74億曲に上り、2012年の37億曲の約2倍となりました。この数値には、定額制音楽ストリーミングと、売上推移に含まれない広告モデルの音楽ストリーミングの両方が含まれまれています。

BPI代表のジェフ・タイラー (Geoff Taylor)は、

「これらの数値は転換期を迎えている私たちの現状を控えめに示していると言えるでしょう。ストリーミング再生された楽曲数は2倍に増加しました。ですが、売上推移には広告モデルのサービスは含まれていません。全体の推移は、公表した数値よりもはるかに大きいと言えます。

 音楽ストリーミングの急成長は、明るい兆しです。特に定額制音楽サービスでは、大きな規模拡大が見られました。しかし、私たちは市場の変化を注意深く見守らなければなりません。多くの人は、フィジカルからデジタルへの移行に注目しています。しかし、デジタルの領域でもダウンロードからストリーミングへ移行が始まっているのです。」

と述べています。

アルバム売上の現状

アルバム売上総数は年々減少しています。2009年には1億2890万ユニットだった売上総数は、今年は9400万ユニットまで落ち込みました。2013年にはデジタルでのアルバム売上総数は前年比6.8%増加でしたが、CDでのアルバム売上総数は12.8%減少しており、損失をカバーすることはできませんでした。

CDは、減少しているとはいえ、未だにイギリスの音楽シーンで最も消費されているメディアです。音楽ストリーミングを含まないアルバム売上総数9400万ユニットの中で64.4%となる6060万ユニットはCDによるものです。

アナログレコードは引き続き好調です。2013年に購入されたアナログ・アルバムの総数は、2012年から100.8%増加し780000枚となりました。しかしこれは業界全体のアルバム売上でわずか0.8%にしかなりません。

シングル売上の現状

シングルに目を移すと、売上は前年比1.6%減少し1億6780万ポンドに減少シタことに加え、売上総数が3.4%減少し1億8220万ユニットと減少してしまいました。シングル・ダウンロードは4.2%減少し1億7560万ユニットでした。イギリスのシングル部門では、デジタル・ダウンロードが全体の96.4%を占めています。

2012年のシングル売上は好調で総数が1億8860万ユニット、売上は1億7050万ポンド、シングルのデジタル・ダウンロードは過去最高となる1億8330万ダウンロードでした。

このことから、シングルの領域は今後は音楽ストリーミングによって取って代わられるのかもしれませんが、まだこれがトレンドと言えるほど明確な証拠はありません。

音楽ストリーミングの現状

気になるのは、音楽ストリーミングが成長したことによって、アルバム売上が減少した、いわゆるカニバリゼーションが起きているのではないかということです。しかし、イギリスでは音楽ストリーミングとアルバム売上の関係は相乗効果で成り立っていると今年のチャートからは伺えます。

下のリストは、BPIとOfficial Charts Companyが発表した2013年に最もストリーミング再生されたアーティストのトップ10です。

2013年最もストリーミング再生されたアーティスト

1. アークティック・モンキーズ (Arctic Monkeys)
2. Bastille
3. ダフト・パンク (Daft Punk)
4. エミネム (Eminem)
5. One Direction
6. Imagine Dragons
7. マックルモア&ライアン・ルイス (Macklemore & Ryan Lewis)
8. カルヴィン・ハリス (Calvin Harris)
9. ドレイク (Drake)
10. リアーナ (Rihanna)


一方で、こちらが2013年に最も売れたアルバムのトップ20です。

1.ONE DIRECTION – MIDNIGHT MEMORIES
2.EMELI SANDE – OUR VERSION OF EVENTS
3.MICHAEL BUBLE – TO BE LOVED
4.ROBBIE WILLIAMS – SWINGS BOTH WAYS
5.OLLY MURS – RIGHT PLACE RIGHT TIME
6.BRUNO MARS – UNORTHODOX JUKEBOX
7.ROD STEWART – TIME
8.ARCTIC MONKEYS – AM
9.GARY BARLOW – SINCE I SAW YOU LAST
10.ELLIE GOULDING – HALCYON
11.BASTILLE – BAD BLOOD
12.MOTION PICTURE CAST RECORDING – LES MISERABLES
13.EMINEM – THE MARSHALL MATHERS LP 2
14.JAKE BUGG – JAKE BUGG
15.MUMFORD & SONS – BABEL
16.DAFT PUNK – RANDOM ACCESS MEMORIES
17.RUDIMENTAL – HOME
18.CALVIN HARRIS – 18 MONTHS
19.PASSENGER – ALL THE LITTLE LIGHTS
20.PINK – THE TRUTH ABOUT LOVE


ご覧のとおりアルバム1位のOne Directionは音楽ストリーミングでも5位。音楽ストリーミング1位のアークティック・モンキーズもアルバム売上は8位、2位のBastilleもアルバム部門では11位にランクイン、その他にもストリーミングサービスで再生されているアーティストは、アルバム売上も好調であることが見えてきます。

このことから言えるのは、大物アーティストの場合、音楽ストリーミングサービスでも再生され、そしてアルバムの売り上げることができるということです。

しかし、音楽ストリーミングによる再生がアルバム売上に貢献しているかどうかは、アーティストによって異なると言えます。例えばEMELI SANDE、マイケル・ブーブレ、ロビー・ウィリアムスなどはアルバム売上は好調でも、音楽ストリーミングではトップ10に入っていません。

一方でイギリスの音楽シーンで最も伸びている領域は定額制音楽ストリーミングサービスであることは確実で、音楽業界は音楽ストリーミング無しで成長することは困難です。特に売上速度が落ちている中、音楽ストリーミングが普及すれば減少領域の補完または全体の底上げへと繋がる可能性があるからです。

2014年はヘッドフォンブランドBeats by Dr. Dreの定額制音楽サービス「Beats Music」やYouTubenの定額制音楽サービスの登場が予想されます。従って、今年はさらにアーティストが音楽を売るだけではなく、音楽ストリーミングでも再生してもらえるか、音楽ストリーミングでのファン層を拡大できるかに向けた取り組みが重要になっていくと思われます。

■記事元http://jaykogami.com/2014/01/5401.html


記事提供All Digital Music

■ジェイ・コウガミ プロフィールhttp://jaykogami.com/about
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