高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]
ノンストップ、ロングラン中!
『ライオンキング』東京公演15周年、
12月20日で通算5195回! 全国で8962回!
■ 日本最大級の劇団、専用劇場の建設、無期限ロングラン実行中
『ライオンキング』観客動員数は約559万人!
2013年12月20日、『ライオンキング』は日本上演15周年をむかえた。浜松町の四季劇場[春]にて無期限ロングラン上演中。公演回数は5195回、観客動員数は約560万人、全国5都市での通算では8962回、観客動員数は約904万人(上記日付現在)、どの数字をとっても日本一である。
そもそも劇団四季は1953年に創立、最初はたった8人の劇団だった。現在は劇団員約1200人(俳優は約600人)年間約3000ステージをこなしている。レパートリーも多岐に渡り、ストレートプレイ、ミュージカルもオリジナルから『マンマ・ミーア!』や『ウィキッド』『キャッツ』等の海外ミュージカル等を上演。「日本の演劇界に革命を起こす」という気概を持ってフランス革命記念日に旗揚げしたが、その志通り、無期限ロングランや専用劇場の建設など“日本初”を次々と実行してきた。
日本を代表する最大規模の劇団となっているのは周知の通り、今年は劇団創立60周年、春には『リトルマーメイド』の開幕、と話題をさらってきたのである。
■ 作品の底力とロングランシステムにより実現した15年の“奇跡”
日本の演劇界では今までに、これほどの無期限ロングランを続ける状況はなかった。1つの劇場を数ヵ月単位で交代に使用する、という“貸館システム”では大掛かりな仕掛けの演目はコストがかかるため、採算が取れないのである。しかし、観客が本当に観たい魅力的な演目ならロングラン方式を取ればやれる限り上演することは可能なのである。それをこの『ライオンキング』は証明した、と言っても過言ではないだろう。
初演時は関東地区以外の観客が3%だったのが、近年はそれ以外の観客も増え、現在は約32.9%になった。作品そのものが認知されたのも大きな要因だが、「交通費をかけてでも観たい」「泊まりがけでも観たい」と思える吸引力が作品にあるからではないだろうか。
また、一般的にミュージカルの観客は女性が多いと言われているが、この『ライオンキング』は現在、3人に1人が男性客だそうである。さらに修学旅行のニーズも増加。『ライオンキング』は今や修学旅行の人気演目に成長している。
営業努力ももちろん見逃せないが、なにより、作品のテーマやクオリティが大きな要因ではないだろうか。それが“奇跡”の15年ロングランにつながったと言えよう。
■ 劇団四季の俳優 島村幸大が語る、『ライオンキング』のシンバは憧れの役
初日は涙をこらえてのカーテンコール
大勢の俳優が出演している『ライオンキング』、シンバ役を演じている島村幸大は「”シンバ役を勉強しておくように”と言われた瞬間は“誰かと間違っているんじゃないか”と思いました(笑)」と言う。何しろ世界中で上演されている人気演目、しかもシンバは作品の主人公である。「本当に『ライオンキング』のシンバは憧れていた役ですから。“あのプライドロックにのぼりたい”と思っていました(笑)」島村幸大は2008年に劇団四季に入所、同年には『ライオンキング』にアンサンブルで出演し、翌年にシンバ役に抜擢された。「お客様の中には“今日は新しいシンバがデビューする日だ”とわかっている方もいらして。当こらえながら凄く感動した記憶があります」
■ 『ライオンキング』の魅力は一言では語れない、
「何か道しるべが見えて、それで劇場を後にして欲しい」
『ライオンキング』の魅力は一言では語れない。作品のテーマ“サークル・オブ・ライフ(生命の連環)”の普遍性に加え、舞台芸術家ジュリー・テイモアの東洋のパーフォーミングアーツ(インドネシアの影絵や日本の文楽や歌舞伎)から想を得た独自の表現方法でクリエイティブな舞台を創造、これが観る者の心をとらえている。これにエルトン・ジョンやティム・ライス、南アフリカ出身のレボ・Mの楽曲が加わり、作品に奥行きを与えている。
島村は「この作品は観終わったらスッキリとして、爽快感を感じていただけるのではないでしょうか。何か道しるべが見えて、それで劇場を後にしていただきたいですね」と語る。稽古では大変なこともあったという島村「僕自身、シンバに似ているところがある気がします。一度、稽古中に挫折して、またシンバの稽古に参加させてもらった経緯があるので……。お客様の中には挫折を経験して、それを乗り越えて生きている方々も大勢いらっしゃると思うんです。きっと共感していただけると思いますね」
■ 節目の年に出演できて光栄、目指せ10000回!
12月20日、15周年アニバーサリーで大盛り上がり!
15周年の節目の年に出演するにあたって島村は「ただただ、光栄です。日本の演劇史上唯一、ロングラン15年ですから。現在、僕が本番で着けているシンバのコルセットですが、実は初演から使われているんですよ。衣裳スタッフがしっかりとメンテナンスをしているので、こうして今でも現役なんです。
これが相当重い!衣裳を着けると、その重さと同時に15年分の様々な“想い”を感じますね」2013年が過ぎてもまだまだ続く『ライオンキング』。「ゴールが見えない役ですね。役と真摯に向き合わないとお客様に作品の内容がきちんと伝わりません。一生懸命に役と向き合い続けて、10000回の時もシンバを演じていたいです!」
さて12月20日、大入り満員の四季劇場[春]、1998年のこの日に幕があいた『ライオンキング』、そこから無期限ロングランが始まった記念の日である。この日、本公演終了後、特別カーテンコールが行われた。この日だけのパーフォーマンスに観客は大喜び。そして、15周年の特別看板がせりあがり、キャノン砲が華やかに発射。客席は歓声に包まれた。
シンバ役の島村幸大はキャストを代表して「ご来場いただき、誠にありがとうございます。本日、『ライオンキング』東京公演は、15周年を迎えました。1998年、日本初となる無期限ロングラン公演として開幕。この15年間で、総公演回数5195回、のべ560万人ものお客様にご覧いただきました。これほどの公演を重ねることができましたのも、お客様お一人お一人が『ライオンキング』を愛し、育んでくださったからこそと、動植物、スタッフ一同、感謝の気持ちでいっぱいです。『ライオンキング』東京公演、さらなるロングランに向け邁進してまいります。今後も一層のご声援を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました」と挨拶。観客総立ち、拍手は長く続いた。
その後、アニバーサリー年の記念として”あなたと『ライオンキング』の15年”エピソードを公募、その授賞式も行われた。感極まって涙するシーンもあり、暖かい一瞬となった。
無期限ロングラン、さらなる歴史を刻むことだろう。
『ライオンキング』 公演中
四季劇場[春]
大阪四季劇場
http://www.shiki.jp
【関連写真】ノンストップ、ロングラン中!「ライオンキング」東京公演15周年 12月20日で通算5195回
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アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]
ノンストップ、ロングラン中!
『ライオンキング』東京公演15周年、
12月20日で通算5195回! 全国で8962回!
■ 日本最大級の劇団、専用劇場の建設、無期限ロングラン実行中
『ライオンキング』観客動員数は約559万人!
2013年12月20日、『ライオンキング』は日本上演15周年をむかえた。浜松町の四季劇場[春]にて無期限ロングラン上演中。公演回数は5195回、観客動員数は約560万人、全国5都市での通算では8962回、観客動員数は約904万人(上記日付現在)、どの数字をとっても日本一である。
そもそも劇団四季は1953年に創立、最初はたった8人の劇団だった。現在は劇団員約1200人(俳優は約600人)年間約3000ステージをこなしている。レパートリーも多岐に渡り、ストレートプレイ、ミュージカルもオリジナルから『マンマ・ミーア!』や『ウィキッド』『キャッツ』等の海外ミュージカル等を上演。「日本の演劇界に革命を起こす」という気概を持ってフランス革命記念日に旗揚げしたが、その志通り、無期限ロングランや専用劇場の建設など“日本初”を次々と実行してきた。
日本を代表する最大規模の劇団となっているのは周知の通り、今年は劇団創立60周年、春には『リトルマーメイド』の開幕、と話題をさらってきたのである。
■ 作品の底力とロングランシステムにより実現した15年の“奇跡”
日本の演劇界では今までに、これほどの無期限ロングランを続ける状況はなかった。1つの劇場を数ヵ月単位で交代に使用する、という“貸館システム”では大掛かりな仕掛けの演目はコストがかかるため、採算が取れないのである。しかし、観客が本当に観たい魅力的な演目ならロングラン方式を取ればやれる限り上演することは可能なのである。それをこの『ライオンキング』は証明した、と言っても過言ではないだろう。
初演時は関東地区以外の観客が3%だったのが、近年はそれ以外の観客も増え、現在は約32.9%になった。作品そのものが認知されたのも大きな要因だが、「交通費をかけてでも観たい」「泊まりがけでも観たい」と思える吸引力が作品にあるからではないだろうか。
また、一般的にミュージカルの観客は女性が多いと言われているが、この『ライオンキング』は現在、3人に1人が男性客だそうである。さらに修学旅行のニーズも増加。『ライオンキング』は今や修学旅行の人気演目に成長している。
営業努力ももちろん見逃せないが、なにより、作品のテーマやクオリティが大きな要因ではないだろうか。それが“奇跡”の15年ロングランにつながったと言えよう。
■ 劇団四季の俳優 島村幸大が語る、『ライオンキング』のシンバは憧れの役
初日は涙をこらえてのカーテンコール
大勢の俳優が出演している『ライオンキング』、シンバ役を演じている島村幸大は「”シンバ役を勉強しておくように”と言われた瞬間は“誰かと間違っているんじゃないか”と思いました(笑)」と言う。何しろ世界中で上演されている人気演目、しかもシンバは作品の主人公である。「本当に『ライオンキング』のシンバは憧れていた役ですから。“あのプライドロックにのぼりたい”と思っていました(笑)」島村幸大は2008年に劇団四季に入所、同年には『ライオンキング』にアンサンブルで出演し、翌年にシンバ役に抜擢された。「お客様の中には“今日は新しいシンバがデビューする日だ”とわかっている方もいらして。当こらえながら凄く感動した記憶があります」
■ 『ライオンキング』の魅力は一言では語れない、
「何か道しるべが見えて、それで劇場を後にして欲しい」
『ライオンキング』の魅力は一言では語れない。作品のテーマ“サークル・オブ・ライフ(生命の連環)”の普遍性に加え、舞台芸術家ジュリー・テイモアの東洋のパーフォーミングアーツ(インドネシアの影絵や日本の文楽や歌舞伎)から想を得た独自の表現方法でクリエイティブな舞台を創造、これが観る者の心をとらえている。これにエルトン・ジョンやティム・ライス、南アフリカ出身のレボ・Mの楽曲が加わり、作品に奥行きを与えている。
島村は「この作品は観終わったらスッキリとして、爽快感を感じていただけるのではないでしょうか。何か道しるべが見えて、それで劇場を後にしていただきたいですね」と語る。稽古では大変なこともあったという島村「僕自身、シンバに似ているところがある気がします。一度、稽古中に挫折して、またシンバの稽古に参加させてもらった経緯があるので……。お客様の中には挫折を経験して、それを乗り越えて生きている方々も大勢いらっしゃると思うんです。きっと共感していただけると思いますね」
■ 節目の年に出演できて光栄、目指せ10000回!
12月20日、15周年アニバーサリーで大盛り上がり!
15周年の節目の年に出演するにあたって島村は「ただただ、光栄です。日本の演劇史上唯一、ロングラン15年ですから。現在、僕が本番で着けているシンバのコルセットですが、実は初演から使われているんですよ。衣裳スタッフがしっかりとメンテナンスをしているので、こうして今でも現役なんです。
これが相当重い!衣裳を着けると、その重さと同時に15年分の様々な“想い”を感じますね」2013年が過ぎてもまだまだ続く『ライオンキング』。「ゴールが見えない役ですね。役と真摯に向き合わないとお客様に作品の内容がきちんと伝わりません。一生懸命に役と向き合い続けて、10000回の時もシンバを演じていたいです!」
さて12月20日、大入り満員の四季劇場[春]、1998年のこの日に幕があいた『ライオンキング』、そこから無期限ロングランが始まった記念の日である。この日、本公演終了後、特別カーテンコールが行われた。この日だけのパーフォーマンスに観客は大喜び。そして、15周年の特別看板がせりあがり、キャノン砲が華やかに発射。客席は歓声に包まれた。
シンバ役の島村幸大はキャストを代表して「ご来場いただき、誠にありがとうございます。本日、『ライオンキング』東京公演は、15周年を迎えました。1998年、日本初となる無期限ロングラン公演として開幕。この15年間で、総公演回数5195回、のべ560万人ものお客様にご覧いただきました。これほどの公演を重ねることができましたのも、お客様お一人お一人が『ライオンキング』を愛し、育んでくださったからこそと、動植物、スタッフ一同、感謝の気持ちでいっぱいです。『ライオンキング』東京公演、さらなるロングランに向け邁進してまいります。今後も一層のご声援を賜りますようお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました」と挨拶。観客総立ち、拍手は長く続いた。
その後、アニバーサリー年の記念として”あなたと『ライオンキング』の15年”エピソードを公募、その授賞式も行われた。感極まって涙するシーンもあり、暖かい一瞬となった。
無期限ロングラン、さらなる歴史を刻むことだろう。
『ライオンキング』 公演中
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http://www.shiki.jp
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