12月16日は、何の日かご存知だろうか?実はこの日は、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)の誕生日にあたる。1983年12月16日に、世界初のOVA作品『ダロス』はリリースされた。つまり、2013年12月16日は、1983年にスタートし、80年代後半から90年代に独自の文化を築いたOVAの満30周年にあたる。
『ダロス』は、月面年を舞台にした本格的作品だ。原作を故人となった『科学忍者隊ガッチャマン』の鳥海永行さん、監督は『うる星やつら』の押井守さんが務めた。アニメ制作は当時設立4年目のスタジオぴえろが手がけている。
重量級のスタッフが、本作をアニメ史に残る記念碑とする。しかし、世界初のOVAという点でもアニメ史に大きな足跡を残す。
それまでのアニメは、テレビ放映された作品と劇場映画が中心となっていた。1980年代初頭にはアニメビデオはすでに普及期に入っていたが、そのタイトルはテレビ作品や映画の商品化だった。
そうしたなか『ダロス』は、ビデオオリジナルの企画がビジネスとして成立することを示し、アニメ界に一石を投じた。OVA作品が、テレビや映画の枠組みでは難しい、特定のファンに向けた企画に向いていることが明らかになった。。
OVAは1980年代半ばから1990年代にアニメ文化の一大ムーブメントとなり、現在の日本アニメの特徴である多様な作品の基盤となった。その後、コアなファンに向けたアニメというOVAの伝統は、深夜アニメ、そして劇場イベント上映などに受け継がれていく。
現在の日本のアニメの豊かさは、30年前の今日、1983年12月16日にあったと言っても言いだろう。
□ OVA誕生30周年を記念して、アニメ!アニメ!編集部が、いま振り返りたいOVA10本を選んでみました。「あの作品を忘れるな!」などの突っ込みどころは満載ですが、OVA作品を振り返るきっかけになれば幸いです。
■ アニメ!アニメ!編集部が選んだ、いま振り返りたいOVA10本は次のページ
ロボットアニメはOVAのなかでも主要ジャンルだ。「マクロス」シリーズや「ガンダム」シリーズなどでも、多くの作品が制作されている。しかし、そうした大型シリーズを超えて味わい深い作品が多いのも、またOVAだろう。
『メガゾーン23』は、石黒昇監督、板野一郎さんや平野俊弘さん、美樹本晴彦さん、荒牧伸志さんらが参加するOVA初期の傑作。
『超時空世紀オーガス02』は、テレビシリーズ『超時空世紀オーガス』の世界観を独自の解釈で新たな物語を構築した。監督・ストーリー原案に高山文彦さん、キャラクターデザインの川元利浩さんにも注目したい。
■ 『メガゾーン23』
■ 『超時空世紀オーガス02』
OVAでは、アニメーターの作家の個性がより発揮した作品を可能にした。1984年にリリースされた『バース』は、名アニメーター・金田伊功さんのキャラクターと動きの面白さが最大限に引き出す。
たびたび映像化されたSFマンガの名作『デビルマン』だが、飯田つとむ(馬之助)監督によるOVA 『デビルマン 誕生編』、『デビルマン 妖鳥シレーヌ編』を最も好きと挙げる人は多い。 『デビルマン誕生編/妖鳥シレーヌ編』は、名アニメーター小松原一男さんのキャラクターデザインと作画が見どころになっている。
■ 『バース』
■ 『デビルマン誕生編/妖鳥シレーヌ編』
OVAの特徴に、テレビシリーズに比べて制作に長い期間をかけられること、そして映画より長い尺を可能にすることがある。そうした条件を見事に活かすことが出来た時に、ハイクオリティの作品が生れる。
1992年の第1巻から、1998年の第7巻で完結するまで6年を要した『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』、2002年から2005年まで全5巻を3年かけて制作した『戦闘妖精雪風』はまさにそうした作品だろう。いずれもアニメ史に輝く金字塔だ。
■ 『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』
■ 『戦闘妖精雪風』
近年、クールジャパンとも呼ばれる海外で日本のポップカルチャー人気には、1980年代後半から1990年代にビデオテープのかたちで海外に持ち出された作品の果たした役割が大きかったはずだ。なかでも「ジャパニメーション」と称される一群の作品は、欧米の映像クリエイターに大きな影響を与えた。
その中核作品は、OVAのかたちでリリースされた先鋭的な作品である。その中から特に海外で高い評価を受けている作品2つをピックアップした。
『獣兵衛忍風帖』と『銃夢』は、いずれもハリウッドから実写化映画化の熱心なラブコールを受けている。
■ 『獣兵衛忍風帖』
■ 『銃夢』
OVAと言えば、それだけのために新たに企画された作品を思い浮かべがちである。しかし、テレビでは一旦終了したシリーズを新たな視点フォローする機能も実際には大きかったのでないだろうか?
そうした作品はテレビ放送というフォーマットを外れることで、作品の持ち味がより強調され凄みを増した。子ども向けであった作品が、より大人向けにドラマとして深くなることも多かった。ここではそうした2つの作品を挙げた。
■ 『魔法の天使クリィミーマミ 永遠のワンスモア』
■ 『新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN』
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それまでのアニメは、テレビ放映された作品と劇場映画が中心となっていた。1980年代初頭にはアニメビデオはすでに普及期に入っていたが、そのタイトルはテレビ作品や映画の商品化だった。
そうしたなか『ダロス』は、ビデオオリジナルの企画がビジネスとして成立することを示し、アニメ界に一石を投じた。OVA作品が、テレビや映画の枠組みでは難しい、特定のファンに向けた企画に向いていることが明らかになった。。
OVAは1980年代半ばから1990年代にアニメ文化の一大ムーブメントとなり、現在の日本アニメの特徴である多様な作品の基盤となった。その後、コアなファンに向けたアニメというOVAの伝統は、深夜アニメ、そして劇場イベント上映などに受け継がれていく。
現在の日本のアニメの豊かさは、30年前の今日、1983年12月16日にあったと言っても言いだろう。
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『超時空世紀オーガス02』は、テレビシリーズ『超時空世紀オーガス』の世界観を独自の解釈で新たな物語を構築した。監督・ストーリー原案に高山文彦さん、キャラクターデザインの川元利浩さんにも注目したい。
■ 『メガゾーン23』
■ 『超時空世紀オーガス02』
OVAでは、アニメーターの作家の個性がより発揮した作品を可能にした。1984年にリリースされた『バース』は、名アニメーター・金田伊功さんのキャラクターと動きの面白さが最大限に引き出す。
たびたび映像化されたSFマンガの名作『デビルマン』だが、飯田つとむ(馬之助)監督によるOVA 『デビルマン 誕生編』、『デビルマン 妖鳥シレーヌ編』を最も好きと挙げる人は多い。 『デビルマン誕生編/妖鳥シレーヌ編』は、名アニメーター小松原一男さんのキャラクターデザインと作画が見どころになっている。
■ 『バース』
■ 『デビルマン誕生編/妖鳥シレーヌ編』
OVAの特徴に、テレビシリーズに比べて制作に長い期間をかけられること、そして映画より長い尺を可能にすることがある。そうした条件を見事に活かすことが出来た時に、ハイクオリティの作品が生れる。
1992年の第1巻から、1998年の第7巻で完結するまで6年を要した『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』、2002年から2005年まで全5巻を3年かけて制作した『戦闘妖精雪風』はまさにそうした作品だろう。いずれもアニメ史に輝く金字塔だ。
■ 『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』
■ 『戦闘妖精雪風』
近年、クールジャパンとも呼ばれる海外で日本のポップカルチャー人気には、1980年代後半から1990年代にビデオテープのかたちで海外に持ち出された作品の果たした役割が大きかったはずだ。なかでも「ジャパニメーション」と称される一群の作品は、欧米の映像クリエイターに大きな影響を与えた。
その中核作品は、OVAのかたちでリリースされた先鋭的な作品である。その中から特に海外で高い評価を受けている作品2つをピックアップした。
『獣兵衛忍風帖』と『銃夢』は、いずれもハリウッドから実写化映画化の熱心なラブコールを受けている。
■ 『獣兵衛忍風帖』
■ 『銃夢』
OVAと言えば、それだけのために新たに企画された作品を思い浮かべがちである。しかし、テレビでは一旦終了したシリーズを新たな視点フォローする機能も実際には大きかったのでないだろうか?
そうした作品はテレビ放送というフォーマットを外れることで、作品の持ち味がより強調され凄みを増した。子ども向けであった作品が、より大人向けにドラマとして深くなることも多かった。ここではそうした2つの作品を挙げた。
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