2013年12月5日、第17回文化庁メディア芸術祭のアニメーション、マンガ、アート、エンターテインメント4部門の各受賞作品が発表された。マンガ部門は荒木飛呂彦さんの『ジョジョリオン』が大賞に選ばれた。国内外で高い人気を誇る荒木氏の代表作「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第8部にあたる。
受賞作品の発表記者会見に登壇した荒木さんは、「描き始めて27年経って、文化庁メディア芸術祭賞で認めて頂けたことは、誠に光栄に思います。ちょっとずつ描いていると良いこともあるのだなあと、個人的に苦しかったことや大変だったことも思い出し、感慨無量です。」と挨拶し、その喜びを語った。
また優秀賞は4作品、『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ)、『それでも町は廻っている』(石黒正数)、『ちいさこべえ』(望月ミネタロウ/原作:山本周五郎)、『ひきだしにテラリウム』(九井諒子)である。商業マンガ誌に連載される作品が受賞作に多い中で、ウェブ連載から始まった『ひきだしにテラリウム』が注目される。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門は、マンガ分野で重要なアワードとして、年々その存在感を増している。そうした傾向を反映して、応募総数も増加傾向だ。
第17回は、過去最高だった458作品を大幅に上回る609作品もの応募があった。このうち雑誌などに掲載され、単行本化されたマンガが502作品、ウェブやモバイル、アプリなどで配信されたマンガが68作品、同人誌などの自主制作のマンガが39作品である。
文化庁メディア芸術祭は、ひとつの表現にフォーカスする一方で、ジャンルを大きく超えることに特徴である。今回も国内商業マンガから海外翻訳マンガ、同人作品と多岐にわたり取り上げている。
海外翻訳マンガは、新人賞に『塩素の味』(バスティアン・ヴィヴェス/訳:原正人)があるほか、世界的なヒット作『ウォーキング・デッド』(ロバート・カークマン/作画:トニー・ムーア、チャーリー・アドラード/訳:風間賢)ほか、今回も引き続複数の作品が取り上げられた。
デジタル分野からも、『ひきだしにテラリウム』のほか、新人賞に「電脳マヴォ」で連載された『夏休みの町』(町田洋)ほかがあり注目が増している。応募作品数68も一昔前であれば考えられない数だ。
一方、自主制作マンガは、『飛ぶ東京 homecoming <完全版>』(木野陽)、『error403のオチとは』(error403)が審査委員会推薦作品にあるものの、応募は39作品にとどまっている。膨大な自主制作のなかからいかに優れた作品をすくい上げるか、こちらはまだ道半ばを感じさせる。
こうした多様な作品群のなかから大賞に輝いた『ジョジョリオン』は、2011年より「ウルトラジャンプ」に連載されている。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズでは連載28年目にもなるが、近年は新たなアニメ化、ゲーム化、大型展覧会とその人気はさらに広がっている。
当初から特徴的であった、独特のポージング、セリフ遣い、スタイリッシュな絵柄は近年ますます研ぎ澄まされている。マニア的でありながら、同時に大衆性を獲得する作品力も、評価の高さの一因であろう。
文化庁メディア芸術祭
http://j-mediaarts.jp/
[マンガ部門]
■ 大賞
『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』 荒木飛呂彦
■ 優秀賞
『昭和元禄落語心中』 雲田はるこ
『それでも町は廻っている』 石黒正数
『ちいさこべえ』 望月ミネタロウ/原作:山本周五郎
『ひきだしにテラリウム』 九井諒子
■ 新人賞
『アリスと蔵六』 今井哲也
『塩素の味』 バスティアン・ヴィヴェス/訳:原 正人
『夏休みの町』 町田
■ 審査委員会推薦作品
『青い薬』 フレデリック・ペータース/訳:原正人 (スイス/日本)
『惡の華』 押見修造
『アステロイド・マイナーズ』 あさりよしとお
『アノネ、』 今日マチ子
『アンモラル・カスタマイズZ』 カレー沢薫
『イノサン』 坂本眞一
『ウォーキング・デッド』 ロバート・カークマン/作画:トニー・ムーア、チャーリー・アドラード/訳:風間 賢二 (米国/英国/日本)
『ウヒョッ!』 東京都北区赤羽清野 とおる
『紙巻きオルゴール』 漫画ミエルレコード with OTOWA 代表 石崎孝多、萱島雄太、杉山三
『香山哲のファウスト』 香山哲
『カレチ』 池田邦彦
『きょうは会社休みます。』 藤村真理
『海月姫』 東村アキコ
『木版漫画集『黒猫堂商店の一夜』 藤宮史
『高校球児ザワさん』 三島衛里子
『シドニアの騎士』 弐瓶勉
『少年ノート』 鎌谷悠希
『すべてがちょっとずつ優しい世界』 西島大介
『戦争と一人の女』 近藤ようこ/原作:坂口安吾
『大東京トイボックス』 うめ/(小沢高広/妹尾朝子)
『第七女子会彷徨』 つばな
『飛ぶ東京 homecoming <完全版>』 木野陽
『鳥の眼』 ムライ
『ドリフターズ』 平野耕太
『とろける鉄工所』 野村宗弘
『脳内ポイズンベリー』 水城せとな
『変身のニュース』 宮崎夏次系
『放浪息子』 志村貴子
『ラ・ドゥース』 フランソワ・スクイテン/訳: 古永真一 (ベルギー/日本)
『ワンパンマン』 村田雄介/原作:ONE
『error403のオチとは』 error403
『Ngurrara』 Tyson MOWARIN / Stuart CAMPBELL (オーストラリア)
【関連写真】メディア芸術祭マンガ部門、大賞に荒木飛呂彦「ジョジョリオン」 海外から同人まで多様な作品並ぶ
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文化庁メディア芸術祭功労賞にアニメ音響の柏原満氏、コミティア代表の中村公彦氏ら
受賞作品の発表記者会見に登壇した荒木さんは、「描き始めて27年経って、文化庁メディア芸術祭賞で認めて頂けたことは、誠に光栄に思います。ちょっとずつ描いていると良いこともあるのだなあと、個人的に苦しかったことや大変だったことも思い出し、感慨無量です。」と挨拶し、その喜びを語った。
また優秀賞は4作品、『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ)、『それでも町は廻っている』(石黒正数)、『ちいさこべえ』(望月ミネタロウ/原作:山本周五郎)、『ひきだしにテラリウム』(九井諒子)である。商業マンガ誌に連載される作品が受賞作に多い中で、ウェブ連載から始まった『ひきだしにテラリウム』が注目される。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門は、マンガ分野で重要なアワードとして、年々その存在感を増している。そうした傾向を反映して、応募総数も増加傾向だ。
第17回は、過去最高だった458作品を大幅に上回る609作品もの応募があった。このうち雑誌などに掲載され、単行本化されたマンガが502作品、ウェブやモバイル、アプリなどで配信されたマンガが68作品、同人誌などの自主制作のマンガが39作品である。
文化庁メディア芸術祭は、ひとつの表現にフォーカスする一方で、ジャンルを大きく超えることに特徴である。今回も国内商業マンガから海外翻訳マンガ、同人作品と多岐にわたり取り上げている。
海外翻訳マンガは、新人賞に『塩素の味』(バスティアン・ヴィヴェス/訳:原正人)があるほか、世界的なヒット作『ウォーキング・デッド』(ロバート・カークマン/作画:トニー・ムーア、チャーリー・アドラード/訳:風間賢)ほか、今回も引き続複数の作品が取り上げられた。
デジタル分野からも、『ひきだしにテラリウム』のほか、新人賞に「電脳マヴォ」で連載された『夏休みの町』(町田洋)ほかがあり注目が増している。応募作品数68も一昔前であれば考えられない数だ。
一方、自主制作マンガは、『飛ぶ東京 homecoming <完全版>』(木野陽)、『error403のオチとは』(error403)が審査委員会推薦作品にあるものの、応募は39作品にとどまっている。膨大な自主制作のなかからいかに優れた作品をすくい上げるか、こちらはまだ道半ばを感じさせる。
こうした多様な作品群のなかから大賞に輝いた『ジョジョリオン』は、2011年より「ウルトラジャンプ」に連載されている。「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズでは連載28年目にもなるが、近年は新たなアニメ化、ゲーム化、大型展覧会とその人気はさらに広がっている。
当初から特徴的であった、独特のポージング、セリフ遣い、スタイリッシュな絵柄は近年ますます研ぎ澄まされている。マニア的でありながら、同時に大衆性を獲得する作品力も、評価の高さの一因であろう。
文化庁メディア芸術祭
http://j-mediaarts.jp/
[マンガ部門]
■ 大賞
『ジョジョリオン ―ジョジョの奇妙な冒険 Part8―』 荒木飛呂彦
■ 優秀賞
『昭和元禄落語心中』 雲田はるこ
『それでも町は廻っている』 石黒正数
『ちいさこべえ』 望月ミネタロウ/原作:山本周五郎
『ひきだしにテラリウム』 九井諒子
■ 新人賞
『アリスと蔵六』 今井哲也
『塩素の味』 バスティアン・ヴィヴェス/訳:原 正人
『夏休みの町』 町田
■ 審査委員会推薦作品
『青い薬』 フレデリック・ペータース/訳:原正人 (スイス/日本)
『惡の華』 押見修造
『アステロイド・マイナーズ』 あさりよしとお
『アノネ、』 今日マチ子
『アンモラル・カスタマイズZ』 カレー沢薫
『イノサン』 坂本眞一
『ウォーキング・デッド』 ロバート・カークマン/作画:トニー・ムーア、チャーリー・アドラード/訳:風間 賢二 (米国/英国/日本)
『ウヒョッ!』 東京都北区赤羽清野 とおる
『紙巻きオルゴール』 漫画ミエルレコード with OTOWA 代表 石崎孝多、萱島雄太、杉山三
『香山哲のファウスト』 香山哲
『カレチ』 池田邦彦
『きょうは会社休みます。』 藤村真理
『海月姫』 東村アキコ
『木版漫画集『黒猫堂商店の一夜』 藤宮史
『高校球児ザワさん』 三島衛里子
『シドニアの騎士』 弐瓶勉
『少年ノート』 鎌谷悠希
『すべてがちょっとずつ優しい世界』 西島大介
『戦争と一人の女』 近藤ようこ/原作:坂口安吾
『大東京トイボックス』 うめ/(小沢高広/妹尾朝子)
『第七女子会彷徨』 つばな
『飛ぶ東京 homecoming <完全版>』 木野陽
『鳥の眼』 ムライ
『ドリフターズ』 平野耕太
『とろける鉄工所』 野村宗弘
『脳内ポイズンベリー』 水城せとな
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『error403のオチとは』 error403
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