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米ネットラジオPandora、モバイルアプリの時間制限を解除

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posted by Jay Kogami

米ネットラジオPandora、モバイルアプリの時間制限を解除し音楽聴き放題を再開、iTunes Radio対抗への準備か?

Pandora

アメリカ最大のネットラジオ「Pandora」は、今年2月にモバイル・アプリでの最大視聴時間に制限を設けた。これまではユーザーがモバイルで聴ける時間は無制限だったものを、最大視聴時間を40時間に設定した。これは高額なロイヤリティ料支払いを抑えるための施策だった。

この発表から6ヶ月後Pandoraは40時間の制限を9月1日から外し、無制限の聴き放題をモバイルアプリで復活させることを発表した。

米国最大のネットラジオ「Pandora Radio」、高額なロイヤリティ支払いのためモバイル向けの聴き放題を止めて毎月40時間の上限を設定

A note to our listeners(2/27 Pandoraブログ)

創業者のティム・ウェスターグレン(Tim Westergren)はプレスリリースで、「Pandoraでの無料視聴を再び最大にできることを嬉しく思います。毎月7000万人以上のリスナーが、もっと音楽を聴くことができるようになります。そして数千組のアーティストが多くのファンを獲得することができます」と述べている。

Pandora

Pandoraは無制限の聴き放題サービスを提供する代わりに、楽曲間に広告が挿入される、広告ビジネスをビジネスモデルとしている。これはウェブ、モバイル両方とも同じ。広告を出したくないユーザーはサブスクリプション(有料)の「Pandora One」(年間36ドルまたは月額3.99ドル)を支払うことで、ウェブ・モバイルで広告が挿入されなくなる。

PandoraのCFO、マイケル・ハーリング(Michael Herring)は四半期決算の電話会議の中で、「時間に制限を設けるよりも、スキップの制限などその他の測定手法を用いる方が、ユーザーの視聴体験をそこなうことなくより効果的にコストをコントロールできる。また広告事業を始めとしたPandoraの事業が成長したことで、41時間以上の視聴時間帯からより高い確立でマネタイズすることが可能になった」と述べています。

ハーリングによれば、モバイルアプリに制限を設けた後、利用が10%減少した。一方でハーリングは制限解除で利用に大きな変化は無いだろうと予測する。またハーリングは、制限を解除したことで、今後サブスクリプションも大きく増加しないとも述べている。

Pandoraはデジタル音楽の分野では全米最大規模のビジネスである。現在Pandoraは1000以上のコンシューマ向けデバイスで利用が可能で、また米国で販売される自動車の3分の1はPandoraを搭載している。またPandoraはGoogle, Facebookに次いで全米で3番めのモバイル広告収入を誇るサービスだ。

iTunes Radio

9月には、Pandoraと直接競合するAppleの無料音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」が登場すると噂されている。iTunes RadioはPandoraと同様に、ユーザーが選んだアーティストや楽曲を分析し、各自の趣味嗜好に最適な楽曲を自動レコメンドする、パーソナライズド・ラジオサービスを提供する。

iTunes Radioは次期iPhoneのOS「iOS 7」にデフォルトで搭載される音楽サービスで、iPhone、iPad、iPod Touch、Apple TV、iTunes搭載のPCでの利用が可能になる。またiTunes RadioはiTunesと連携し、ストリーミング再生からの楽曲購入も簡単に行えるため、音楽業界から新しい収益ソースとして期待が高まっている。

iTunes Radioは今のところ、時間制限は何も設けていない。また楽曲間に挿入される広告を削除したい場合、ユーザーはiTunes Matchに加入することで、全ての広告を外すことができる。iTunes Matchの年会費は25ドル。これはPandora Oneよりも16ドルも安い。

Pandoraの制限解除の狙いが、安定したビジネスやマネタイズの多様化だけとは考えにくい。iTunes Radioがローンチされれば、ユーザーやメディアの関心はAppleに行ってしまう。Pandoraはその前に時間制限を解除することで、ユーザー志向のサービスをPRしたいのかもしれない。また制限付きのサービスというものは、広告主へのアピールに欠けるので、ビジネス的な配慮もあるかもしれない。

制限解除はユーザーにとっては嬉しいニュースだが、制限の影響を受けたユーザーは全アクティブユーザーの4%未満と極端に少なかった。Pandoraはこの他にも自社の利益を上げるために、ロイヤリティ料を法的に下げようとするキャンペーンを行うなど、PR的にネガティブなイメージがつきまとう。今後iTunes Radioが出てきた時にはPandoraやアメリカの音楽ビジネスは変化していくのだろうか?

■記事元http://jaykogami.com/2013/08/3840.html


記事提供All Digital Music

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