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「革命機ヴァルヴレイヴ」 池谷浩臣、丸山博雄両プロデューサーが明す1期、そして2期の新たな動き

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2013年4月から6月まで、MBS・TBS・CBC・BS-TBSの“アニメイズム”枠にて、テレビアニメシリーズ『革命機ヴァルヴレイヴ』が放送された。総人口の7割が宇宙で暮らす時代を舞台に、謎の人型兵器ヴァルヴレイヴと戦争に巻き込まれた少年少女たちの運命を描く。
監督:松尾衡さんをはじめ制作スタッフ、音楽、キャストと、実力派が勢揃いした。あらゆる面でハイクオリティを目指した話題作である。

本作は6月に、多くの謎を残しつつ第1期を終了した。そして、物語は新たな展開を予感させながら、10月から新たに第2期が始まる。ファンには待ち遠しいものとなりそうだ。
この2期スタートを前に、本作のプロデューサー、サンライズの池谷浩臣氏とMBSの丸山博雄氏に話を伺った。第1期『革命機ヴァルヴレイヴ』とは何だったのか?そして第2期には一体何が起きるのか?

『革命機ヴァルヴレイヴ』
テレビアニメ公式サイト <A Href="http://www.valvrave.com/" Target="_blank">http://www.valvrave.com/</A>
公式ツイッターアカウント @ valvrave


■ シナリオ会議でも賛否両論だった“アイナの死”

―― まず初めに、1クール目の放映が終わった今の心境を伺えますか?

―― 丸山博雄プロデューサー(以下、丸山)
率直にやはり「オリジナル作品はとても大変だが、やりがいがある」と思います。オリジナルアニメは原作がある作品と違って、“頼る”絶対的なものがない。作り手自身も制作が進んでいく中で、「こういう作品なんだ」と理解したり、発見していくことがとても多いです。

しかも今回の『革命機ヴァルヴレイヴ』は、誰かひとりの人間の志向にどっぷりと寄りかかるというよりは、スタッフみんなでやりたい事やアイデアを出し合い、足していきながら作っているため、最終的にどういう生き物が生まれてくるのか、計算しきれない所をはらみながら進んでいたりします。
そうしたやり方が本作の良い面を産み出し、もしかしたら悪い面にも作用した部分もあるかもしれませんが、例えば会議で話しあって一旦形になっても、そこから手を離れて、画になり、芝居や音が入り、様々な工程で人の手を経ることで、最終形となった時に当初の想像を逸脱するものになっているんです。

むしろ想像していたものと違うから面白いし、ワクワクするし、それがオリジナルの醍醐味だと思いますし、一スタッフとしてそこを体感させていただいています。

―― 池谷浩臣プロデューサー(以下、池谷)
まさに今、丸山さんがおっしゃった通りで、僕は現場で作っている人間ではあるんですが、そこにもたくさん声が届く。こういうことを言うと失礼なのかもしれないですが、毎回、ひとつひとつ勉強させていただいている、という気持ちがします。
完全オリジナルの作品というのは、僕の制作人生のなかでほぼ初めてなのですが、こういう場を与えてもらえてありがたいというか、得がたい経験をさせていただいているなと思います。

―― たくさんの反響が寄せられていると思いますが、個人的に一番気になったのは、アイナの死亡シーンです。彼女の突然の死は非常に衝撃的だったのですが、制作者サイドではどのようにお考えになっていたのでしょうか。

―― 丸山
オリジナル作品を制作していくなかで、第6話、第7話あたりというのは、やっと少しずつキャラクターに愛情を覚えていくタイミングだと思いますが、そんな中でキャラクターが退場してしまうというのは、送り手側にも見る側にも正直、抵抗感もあるかと思います。
ただ、今回の『ヴァルヴレイヴ』は戦争を扱っている作品でもあり、そうした異常事態においては、“死”というものが我々の日常生活以上に、より突然に訪れることもあるのではないかと…。
実際の人生においても、全く死亡フラグが立たないまま、突然の死が訪れてしまうことがある。そこにはなんのドラマもなく、死がある。この作品においては、そうした苦い部分も必要なのではないか、という考えがありました。

―― 池谷
アイナの死に関しては、シナリオ会議でも賛否両論があったんです。僕個人としては、それが誰であろうと、単純にキャラクターには死んでほしくないという思いがあります。でも『ヴァルヴレイヴ』は、学校と戦場がすぐ隣り合わせにある状況を描いた作品でもあって、そういう状況を描いている以上、子供たちにとっての“痛み”もまた、どこかで描かなければならない。
確かに観ていただいた方にとってアイナの死は、突発的に見えたかもしれません。しかし最終的な絵作りも含めて、彼女の死というものを登場人物たちに突きつける。そこまでしっかりと描ききることがとても大切だと思ったんです。




■ オリジナル作品はキャラクターもまた生き物

―― 他のキャラクターについても、少しお伺いしたいと思います。主人公のひとりであるエルエルフは、ドルシアのスーパーエージェントという設定ですが、視聴者からはクールというよりは少し間の抜けた――愛すべきキャラクターとして捉えられている気がします。
彼の受け止められ方について、どのようにお感じになっているのでしょうか?

―― 池谷浩臣プロデューサー(以下、池谷)
たしかに、あるキャラクターに対して「どこがかわいいのか」を探りながらご覧になる方が多いのかな、という気がしました。
こちらとしてはエルエルフを「素っ気なくクールに決めるキャラクター」として作っているわけではないんです。でも、そういう風に受け止めて、楽しいと思われる方がいても構わない。むしろ楽しいと思っていただけるのは嬉しい事ですね。

―― 丸山博雄プロデューサー(以下、丸山)
送り手としては、エルエルフは頭の切れる優秀なエージェントとしてまっすぐに描く意図でした。なので、受け取たれた方々から、そういった捉え方があったのは意外でしたが、オリジナル作品はキャラクターもまた生き物で、見てくださる方々に育てられていく部分もあるので、いい意味で影響を受けながら、キャラに新しい一面が付加されて、人間性にも奥行きが出てくればいいと思います。
エルエルフを「スーパーエージェントだ」と思って見ていた方が、他の人の意見や見方を聞いて、「なるほど、こういう視点があるのか」と気付くこともあってよいのではと感じています。

―― 例えば、彼の愛称が「ハムエルフ」だったりしますよね(笑)。劇中でもそう呼ばれていたりしますが……。

―― 丸山
エルエルフ自身は、“人間離れした”強い精神の持ち主なんですが、周りのキャラがこういう呼び方をしたことで彼の持っている“人間らしさ”を表現できたりもするのかと。そういう少し引っかかるニュアンスに関しては、脚本会議でいろんな人から様々に出てきて、そして多くは捨てられていく無数のアイデア、意見の中で、残ったものだったりします。
エルエルフという人間には良くも悪くもかもしれませんが、こういう表現がある種の愛嬌として受け手に捉えられているのかもしれないですね。



■ 敵メカ「バッフェ」に両プロデュサーが愛着?!

―― キャラクターは生き物だというお話がありましたが、当初の予想以上に、ハネたキャラクターというと誰でしょうか?

―― 丸山
プレスコのときに感じたことなんですが、やはりオリジナル作品は「声」でキャライメージの奥行きがすごい広がるなと痛感しました。「セリフ」と「キャラデ」で構築していた人物像に新たな発見があるというか…。
とくにキャラの中でも、野火マリエと連坊小路アキラは、もともとセリフ自体も多くないので、キャラクター像をつかまえるためのヒントが少ない状態で、イメージが確立しづらい。しかも、個人的には2キャラクターの方向性が似てしまうのではという懸念もあったのですが、役者陣の声が入った時に、「あっ、このキャラはこういう人か」というのが瞬時に想像でき、全く方向が寄ることのない2キャラクターとして確立した気がしました。
声を聞くことで、また逆に、進行中のシナリオ制作での人物像にも影響を与えた部分があったりするのが、オリジナルの妙味かと思います。今後の2ndシーズンでは、マリエとアキラも物語の中で重要に動いていくことになります。

あと、これはキャラクターと言っていいのか分かりませんが、敵のメカである「バッフェ」でしょうか。正直、一番最初にデザインを見たときは驚きもありましたが、戦闘シーンを重ねていき、様々に描かれていくにつれ、どんどんしっくりきて、後半になればなるほどカッコよく見えてくる。化けたな、と思いました。

―― 池谷
個人的な話になるんですけど、僕は量産型が大好きなんです(笑)。バッフェのデザインを担当していただいたのは、大河原邦男さんなんですが、個人的にあのメカのラインがすごく好きなんですよね。たしかに量産型としてはあまりに弱すぎる印象にならないかという危惧はあったんですけども、例えば第1話でパイロットにセリフを与えた、ということもあるのかもしれない。それでメカとしてのキャラクターが立ったというところはあるかもしれないですね。現場では結構、人気があるんですよ(笑)。
大河原さんは、すごくシンプルな構成なんですけど、バチッとハマったものを出していただける。よく「自分のデザインは設計図だから」とおっしゃるんですけど、つまり現場でどのようにしてもらっても構わない、と。そのあたりが線の少なさとか構成のシンプルさに繋がっているのかもしれません。




■ 1期で描かれたハルトは成長でなく、変化

―― なるほど。少し話を元に戻したいんですが、エルエルフと対になるもうひとりの主人公・ハルトに関してはいかがでしょうか?

―― 池谷浩臣プロデューサー(以下、池谷)
僕としては、第1話でヴァルヴレイヴと出会ったことによって、世界における彼の立ち位置が決定的に変わってしまった、と思っているんですね。自分の身体に変化が起きて、しかもその変化には隠された秘密があるらしい、と。それを知ったハルトは、今までの牧歌的な学園生活を送っていたハルトとは、確実に変わらざるをえない。それが果たして「成長」といえるかどうかは分かりませんが…。
これまでの彼は、状況に対してリアクションを返すキャラクターだったのですが、これからは、彼が自分の意思を持って、積極的に行動に出ていく。そういう部分も描ければな、と思っています。

―― 丸山博雄プロデューサー(以下、丸山)
1期で描いているのはハルトの「成長」ではなくて、たぶん「変化」なんです。ハルトという人は、“教室の中の平和な日常”においてはいわゆる“いいヤツ”だったと思うんです。でも、想像を超えるの“異常な状況下”に陥ったとき、それまでとはまったく違う価値観にさらされざるをえない。

―― 戦争状態の真ん中に、しかも兵器のパイロットになってしまった、という。

―― 丸山
そういう意味では、ハルトとショーコというのは、ある種の混乱状態にあるんだと思うんです。これまでずっと持ってた行動する際の判断基準がまったく通じないという…。
劇中では、彼らの行動を勇壮に、あるいはドラマチックに描いてはいるんですけども、その行動自体、引いた視点で見たときに果たして正しかったのどうか。見る角度によっては疑問の余地もあると思ってます。『ヴァルヴレイヴ』1stシーズンは、そういう混乱した状況――戦争という状況のなかで、“変わってしまった”少年少女たちの物語でした。

秋から始まる2ndシーズンは、そこから時間が経って、少し頭が整理された状態から物語がスタートします。これまでの、混乱の最中にいた頃の彼らよりは、ようやく状況を把握し、打開のために前を向いて、動くようになるのかなと思っています。
そういう意味では、2シーズン目は少し「成長」の側面が出てくるのかもしれません。



■ 2ndシーズン 新たに展開する物語や登場するキャラクター、メカも

―― では最後に後半、2ndシーズンにかける意気込みをお願いします。

―― 丸山
『ヴァルヴレイヴ』は当初、普通に連続した2クールで放映したいと考えていた作品です。なので、1stシーズンのラストを見て、「最終回感がうすい」と思われた方も多かったのかもしれないな、と思います。そこに関しては、本当に申し訳なく思っています。
ただ分割2クールになることが決まって、そこで強引にクライマックスを作ることで、シリーズ全体のバランスを崩すことは避けたかったので、あくまで全体のなかの、12話ということを重視させていただきました。

―― あくまでも通過点なわけですね。

―― 丸山
自分は、放送局という立場ですので、「とにかく毎週、次の放送が楽しみ」であるというのをとても大事にしたいと思ってます。日常生活でイヤやことや辛いことがあっても、「今日は家に帰ったら、テレビであのアニメがある」と思うと、少しは元気になれたり。そこがテレビアニメのいいところなのかなと。だから、前のめりに見てくださってる方、少し引いた視点で見ている方、肯定的、否定的すべて含めて、どんなスタンスの視聴者の方にも楽しみに待って頂けるような、そういう作品になれれば幸いです。「今週のヴァルヴレイヴは一体どんなことやってくるんだろう」、という“期待”もしかしたら“不安”も含め、持っていて頂ける“テレビアニメ”でありたいです。

―― 池谷
現場としてはそこに対して、どういう物語や絵を提示できるかだと思うんですが……。2ndシーズンからまた新たに展開する物語があったり、新たに登場するキャラクターやメカもあります。
地続きとはいえ、また新たな気持ちで、テレビの前のみなさんにわいわい楽しんでもらえるような、そういう作品にするべく、頑張っています。ぜひご期待ください。

『革命機ヴァルヴレイヴ』 2ndシーズン
MBS・TBS・CBC・BS-TBS “アニメイズム”枠にて 2013年 10月より始動
テレビアニメ公式サイト <A Href="http://www.valvrave.com/" Target="_blank">http://www.valvrave.com/</A>
公式ツイッターアカウント @ valvrave



【関連写真】「革命機ヴァルヴレイヴ」 池谷浩臣、丸山博雄両プロデューサーが明す1期、そして2期の新たな動き

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